テルライトガラス光ファイバによる超広帯域光発生 |
豊田工業大学大学院工学研究科
先端フォトンテクノロジー研究センター長
教授 大石泰丈氏 |
テルライトやカルコゲナイドガラスは高い非線形性を持つことが知られており、非線形導波路素子への応用が期待されている。これまでその非線形性が盛んに研究されたが、材料特性の研究にとどまってきた。それらガラス素材は、大きな材料分散を持ち通信波長帯で波長分散を零とすることが非常に難しく、その特性が高効率非線形導波路素子実現を妨げている。テルライトガラスは、0.3μmから5μm、また、カルコゲナイドガラスは10μmから20μmに亘る光透過域を有するため、広帯域スーパーコンティニューム媒体への応用が期待できる。本講演では、テルライトガラス等を用いた広帯域スーパーコンティニューム発生について述べる。 |
シリコンフォトニクスと将来の光インターコネクション |
教授 馬場俊彦氏 |
近年,シリコンフォトニクスと称する光エレクトロニクス技術が盛んに研究され話題である.これは成熟したシリコンCMOSプロセスを活用して光デバイスや光(電子)集積回路をシリコンベースで製作する新しい技術である.しかも従来の光デバイスに比べて圧倒的に小型,高密度,高機能な光集積や,低価格・大量一括生産を可能にする.これは,急拡大するデータセンターや高性能コンピュータが導入を始めている光インターコネクションにおける光デバイスのキーテクノロジーとして注目をあび,さらにはCMOSファウンダリがその研究開発環境に変革をもたらしている.本発表では過去の歴史,各種デバイス,光インターコネクションの話題,CMOSファウンダリによるR&Dの現状を紹介する. |
脳組織の生命活動指標としての拡散反射光による診断 |
防衛医科大学校防衛医学研究センター
情報システム研究部門
助教 川内聡子氏 |
虚血等による脳機能の停止は必ずしも組織の不可逆的変性を意味せず,細胞の形態が維持されていれば適切な治療により救済可能な時間帯がある。しかし現在,このcritical time zoneをモニタリングできる技術は確立していない。我々は,非侵襲リアルタイムモニタリングが可能な内因性光学信号に着目し,特に細胞・細胞小器官の形態変化を捉える光散乱信号が脳組織バイアビリティーの有効な指標になりうることを見出してきた。本講演では,光散乱変化とエネルギー代謝異常,細胞の形態変化,組織の可逆・不可逆性との関係等についてこれまでの知見を紹介するとともに,最近の中枢神経系に対する光診断・治療研究についても紹介したい。 |
安全かつ無痛のソフトレーザによる虫歯予防 |
准教授 廣田文男氏 |
虫歯を安全かつ無痛で予防することは人類の有史以来の夢である。現在、歯の治療に電動ドリルが用いられているが、不快な高周波音、振動や耐え難い痛みが伴う。虫歯予防には、フッ素やキシリトールを用いるもの、フィッシャー・シーラント法があるが、いずれも利点もあるが欠点がある。Sternは、レーザ照射歯には耐酸性が付与されることを発見したが、そのメカニズムは半世紀を経た現在でも不明とされてきた。筆者は、各種レーザが歯に与える影響の研究を行い、耐酸性を示す二つの物質を発見し、さらにソフトレーザ(1W以下)によってもその効果があることを明らかにした。またレーザは、虫歯とならんで歯の二大疾患である歯周病にも有効である。 |